近づきやすい順に並べてみるという考え方について
医療の分野で働くためには専門の資格が欠かせないと思い込んでいる方が、いまも数多くいらっしゃいます。実際にはそうではなく、資格を持たない立場から関われる持ち場がいくつも用意されているのが実情です。
この記事では、そうした持ち場を近づきやすい順に並べたうえで、それぞれの中身を見ていきたいと思います。並びの上にあるほど入り口が広く、下にあるほど下積みの時間が長くなると考えていただければ十分です。
順位という形をとってはいますが、上にあるものが優れているという意味ではまったくありません。あくまで最初の一歩を踏み出しやすいかどうかという物差しで並べているにすぎないという点にご注意ください。
働く場所を選ぶ際に、企業の名前を並べたランキングを参考にする方は多いのではないかと思われます。同じように、関われる領域そのものを並べてみると、進む道の全体像がずいぶん見えやすくなります。
並びを眺めるときに大切なのは、自分がどこから入るのかという出発点を決めるための材料にすることです。入り口が広い持ち場から始めて、後から別の領域へ移っていく道も十分に用意されているからです。
医療の分野に挑む小さな会社、いわゆるベンチャーでは、この移動が特に起きやすいという特徴があります。人数が限られているため、一人が複数の持ち場を兼ねる場面が日常的に生まれてくるからです。
そのため、最初に選んだ持ち場が生涯の役割になると思い詰める必要は、まったくないと言ってよいでしょう。まずは入りやすいところから始めて、そこから関心の向く方向へ広げていく進め方が現実的です。
以下では、人をつなぐ役割、文章と記録を扱う役割、段取りと数字を支える役割という順に並べていきます。最後に、並びの後ろに置かれてはいるものの、後から確かに届く領域についても触れておきます。
どの持ち場についても共通しているのは、専門の言葉を少しずつ覚えていく努力が求められるという点です。資格が要らないことと、学ばなくてよいことは、まったく別の話だと考えておきたいところです。
それでも、学び方が用意されている職場であれば、入ってから身につけていくことは十分に可能になります。並びを眺めながら、自分がどの入り口から近づいていくのかを落ち着いて思い描いてみてください。
最も入りやすい持ち場として挙げたい人をつなぐ役割
最も入りやすい持ち場として挙げたいのは、人と人をつなぐ役割にあたる仕事の数々になります。現場の声を聞き、社内へ橋を架け、決まったことを再び現場へ届けるという流れを担う持ち場です。
この役割が入りやすいとされるのは、専門の知識よりも先に、聞く姿勢が問われる場面が多いからです。もちろん知識も必要になりますが、それは働きながら少しずつ身につけていくことができます。
具体的には、導入の場に立ち会って使い方を伝えたり、困りごとの相談を受け止めたりする仕事があります。相手の話を丁寧に受け止められる方であれば、経験の浅いうちから任される場面も出てきます。
人の話を聞くだけでなく、聞いた内容を社内の人へ正しく伝え直すところまでが、この役割の仕事です。伝言の途中で意味が変わってしまわないよう、言葉を選び直す作業が日々続いていくことになります。
この持ち場で経験を積むと、現場で何が起きているのかを肌で知ることができるという強みが生まれます。その知識は、後から別の持ち場へ移ったときにも、確かな土台として働き続けてくれるはずです。
入りやすいとはいっても、決して楽な仕事という意味ではないという点は、正直に伝えておきたいところです。相手の忙しさに配慮しながら話を進める難しさは、経験を重ねてもなくなることがありません。
それでも、人と関わることが好きだという方にとっては、日々の中に喜びを見つけやすい持ち場だと言えます。ありがとうという言葉を直接もらえる機会が多いことも、この役割ならではの良さになります。
就職の面談では、これまでに人の話を聞いて動いた経験を、具体的に語れると強い印象を残せます。学生時代の活動でも、相手の困りごとを聞いて動いた話であれば、十分に伝わる材料になります。
この持ち場は、会社の外へ出る機会が多く、移動の時間が長くなることも知っておきたい点です。外へ出ることを楽しめるかどうかは、向き不向きを考えるうえで一つの目安になってくれます。
入り口が広いぶん、同じ持ち場を志す人も多くなるため、自分なりの強みを言葉にしておきたいところです。聞く力に加えて、書く力や調べる力まで添えられると、選ばれる場面はさらに増えていきます。
二番目に挙げておきたい文章と記録を扱う役割
二番目に挙げておきたいのは、文章と記録を扱う役割にあたる持ち場になってくると考えられます。説明書や手引きを整えたり、決められた手順に沿って書類を作ったりする仕事がここに含まれます。
この持ち場が二番目になるのは、書く力に加えて、正確さへの気配りが強く求められるからだと言えます。とはいえ、文章を書くことが好きだという方であれば、入り口は決して遠いものではありません。
扱う文章は、読み手が誰なのかによって、言葉づかいも並べ方も大きく変えていく必要があります。同じ内容でも、初めて触れる人に向けた文章と、慣れた人に向けた文章では姿が変わってきます。
記録を残す仕事では、後から誰かがたどれるようにしておくという目的を、常に意識しておきたいところです。書いた本人にしか分からないような書き方では、記録としての値打ちが失われてしまうのです。
この持ち場で身につく力は、どの分野へ移っても使えるため、長い目で見て頼りになる財産となります。読み手を思い浮かべて言葉を選ぶ習慣は、あらゆる仕事の土台として働き続けてくれるはずです。
入ってすぐの時期は、先輩が書いた文章を読み込み、型を覚えるところから始まることが多いようです。すでにある文章をなぞる作業は地味に見えますが、学びの密度はとても高いと言われています。
専門の言葉が数多く登場するため、最初のうちは辞書を引きながら進むことになるかもしれません。分からない言葉をその都度書き留めておけば、半年ほどで見え方が変わってくることも珍しくありません。
この持ち場を志すのであれば、面談の場で、これまでに書いた文章について語れるようにしておきましょう。長さよりも、誰に向けて何を伝えようとしたのかを説明できることのほうが大切になります。
細かな確認を苦にしない性格の方であれば、この持ち場で静かに力を発揮していけるはずです。落ち着いて机に向かう時間が好きだという方には、特に向いている領域だと言えるでしょう。
文章と記録の仕事は表に出にくい持ち場ですが、会社の信頼を静かに支える役目を担っています。誰かが残した記録に助けられた経験を重ねるうちに、その値打ちが実感として分かってきます。
三番目に挙げておきたい段取りと数字を支える役割
三番目に挙げておきたいのは、段取りと数字を支える役割にあたる持ち場になってくると思われます。予定を組み立てたり、集まった記録を数え直したりしながら、全体の進みを支える仕事になります。
この持ち場が三番目になるのは、全体の流れをある程度知らないと動きにくいという事情があるためです。とはいえ、入ってから半年ほど過ごせば、必要な見取り図は自然と頭の中にできあがってきます。
段取りを支える仕事では、誰が何をいつまでに行うのかを整理し、抜けが出ないように目を配ります。人へお願いする場面が多いため、相手の状況を思いやれる方に向いている持ち場だと言えます。
数字を扱う仕事では、集まった記録を並べ直し、そこから何が言えるのかを考えていくことになります。難しい計算が求められるわけではなく、必要とされるのは丁寧に確かめていく根気のほうです。
数字の裏側で何が起きているのかを想像できる人は、この持ち場でとても重宝される存在になります。並んだ数を眺めるだけでなく、その背後にある現場の動きまで思い描く力が問われるからです。
この役割を担うと、会社全体がどのように動いているのかを、上から見渡せるようになっていきます。若いうちに全体を知っておくことは、その後どの道へ進むにしても大きな助けになってくれます。
予定どおりに進まない場面も日常的に起こるため、慌てずに組み直せる落ち着きが求められてきます。うまくいかないことを前提として備えておけば、驚かずに手を打てるようになっていきます。
面談の場では、複数の物事を同時に進めた経験について語れると、この持ち場との相性が伝わります。学生時代に催しの準備を任された話なども、十分に説明の材料として使うことができるはずです。
人に頼む力は、生まれつきのものではなく、経験を重ねる中で身につけていける技のひとつです。頼み方の工夫を先輩から学べる職場であれば、早い時期から力を伸ばしていくことができます。
表舞台に立つ機会は少ない持ち場ですが、いなくなると全体が滞るという点で欠かせない役割です。支える側に立つことへ誇りを持てる方にとっては、深い手応えのある領域だと言えるでしょう。
並びの後ろに置かれても後から必ず届く領域
並びの後ろのほうに置かれる領域としては、作る仕事や確かめる仕事を挙げておきたいところです。これらは学んでおくべき事柄が多いため、入り口としてはやや遠く見えることがあるからです。
けれども後ろに置かれているというだけで、資格がなければ関われない領域という意味ではありません。働きながら学び、数年をかけて移っていった方の話は、この分野では珍しくないのが実情です。
実際に、人をつなぐ役割から入って、後に作る側へ移っていった方の例をいくつも聞くことができます。現場を知っているという強みは、作る側へ回ったときに大きな武器になってくれるからです。
文章を扱う持ち場から、確かめる工程へ移っていった方の話も、同じようによく耳にするところです。細かな違いに気づく目というものは、どちらの仕事にも共通して求められる力だと言えます。
移るためには、日々の仕事の合間に学びを重ねる時間を、自分で確保していく必要が出てきます。会社の外の勉強会に足を運んだり、自分の手を動かして試したりする積み重ねが土台になります。
学ぶ姿勢を見せている人には、周りから声がかかりやすくなるという流れも、確かに存在しています。手伝ってみないかという誘いを受けられるかどうかは、日頃の姿勢に大きく左右されてきます。
小さな会社では、この移動が特に起きやすく、数年で担当が大きく変わる例も見受けられます。役割の境目が緩やかであることは、若いうちに幅を広げたい方にとって大きな利点になります。
就職の段階で、将来こちらの領域へ移りたいという希望を伝えておくことも、決して無駄にはなりません。希望を知っている上司であれば、機会が生まれたときに声をかけてくれる可能性が高まります。
焦って最初から遠い入り口を狙うよりも、近い入り口から入って力を蓄える道のほうが確実です。入ってしまえば、内側から見える景色は外から眺めていたものとまるで違ってくるものです。
並びの順位は、あくまで最初の一歩の距離を示しているにすぎないと考えておきたいところです。時間をかければ、どの領域にも手が届くという事実こそが、この分野の心強いところになります。
まとめ
医療の分野には、資格を持たない立場から関われる持ち場が、思っているよりも数多く用意されています。近づきやすい順に並べてみると、自分がどこから入るのかを考えるための材料が手に入ります。
最も入りやすいのは、現場の声を聞いて社内へ橋を架ける、人と人をつなぐ役割だと考えられます。聞く姿勢が先に問われる持ち場であり、知識のほうは働きながら身につけていくことができます。
二番目に挙げたのは、説明書や記録を整える、文章と記録を扱う役割にあたる持ち場になります。読み手を思い浮かべて言葉を選ぶ習慣は、どの分野へ移っても使える確かな財産になります。
三番目に挙げたのは、予定や数字を通じて全体の進みを支える、段取りの役割にあたる持ち場です。会社の全体を見渡せる場所であり、若いうちに立っておくと後の道が歩きやすくなるはずです。
並びの後ろに置いた作る仕事や確かめる仕事にも、働きながら移っていった方が数多くいます。役割の境目が緩やかな職場であれば、その移動というものはいっそう起こりやすくなります。
順位はあくまで最初の一歩の距離を示すものであり、優劣を表しているわけではありません。企業を並べたランキングと同じで、物差しの中身を確かめてから眺めることが大切になります。
入り口の近いところから始めて、関心の向く方向へ広げていく進め方が、この分野では現実的です。資格の有無だけで自分の可能性を狭めてしまわずに、まずは一歩を踏み出してみてください。